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2013年03月06日

強くて優しい女は幸せになれないのか「ハガネの女」

世の中には人に甘えることが上手で男に頼りきって生きている女がいる。
そういう女を批判する気はもうない。それもひとつの才能で女の仕事だからだ。
頼る女がいるからこそ頑張れる男という関係が成り立つなら、立派な仕事に違いない。
だが「ハガネの女」の主人公、女教師・芳賀 稲子=通称ハガネは真逆の女だ。
人に頼るのではなく、人のために生きる女。時に自分を犠牲にすることも厭わない。
優しく人情に厚く責任感が強い。教師として全力で生きている女なのである。

話はすこしそれるが、婦人公論という雑誌の読者投稿ページに、
「私は教師ですが、生徒が『先生に相談したい』と頼んできたのに、
彼とのデートを選んでしまった」と、告白している女性の投稿を読んだことがある。
その投稿には、教師という仕事がいかに苛酷かが延々と書かれており、
仕事より恋を選んだ苦渋の決断もうなずける内容になっていた。
この「ハガネの女」にも、これと似たシーンが何回も出てくる。
デート中に生徒からSOSを発信されるのだ。だが、芳賀 稲子は決して迷いはしない。
たとえ真夜中でも、生徒から求められれば男を置いて飛んでいく。
生徒が親との関係に苦しんでいれば家庭内の問題にも首をつっこみ、
両親と摩擦を起こしながらも解決策を模索する。
生徒の親に裁判で訴えられそうになっても、校長や教育委員会を敵にまわしても
生徒のためなら信念を曲げない。実にあっぱれな女だ。
こういう教師が本当にいて欲しいと思う。

こう書くと学校を舞台にした勧善懲悪ドラマみたいだが、そうならないのが
「ハガネの女」の凄いところだ。人間は誰しも善と悪の両面を持っており、
グレーゾーンの部分も多い。右から見れば悪だが上から見れば善という場合もある。
学校という舞台では、生徒も親もそして先生も「表と裏の顔」を持っているもの。
だからこそ教師として戦うのは難しいのだ。この困難な人間描写も実に丁寧に
描いているから「ハガネの女」は読み応えがある。

しかしハガネのように強い女は、えてして男性とは縁がないものだ。
芳賀 稲子は、後輩の教師に求愛されて婚約するまではいくのだが、破談に終わる。
相手の男は彼女に言う。「どうして僕を頼ってくれないんだ」とー。
「ハガネの女」の作者の深谷かほるさんはシングルマザーだそうだ。
結婚はもうしたくないらしい。作者として、この愛おしくなるような
芳賀 稲子という女主人公に、どういう物語の結末を贈るのだろうか。
どうか幸せにしてやってほしい。芳賀 稲子のように男に頼って生きることが
できない女たちからも、拍手をもって迎えられるようなハッピーエンドにしてほしい。
それがどんな幸せなのかは、わからないけれど。

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ラベル:ハガネの女
posted by 漫画好子 at 16:52| Comment(0) | ハガネの女 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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